北山村はこのほど、筏(いかだ)文化の継承を目的とする国際筏協会IATRに特別会員として加盟した。5月16日にラトビア・ストレンチ市で開催された総会で正式に決定した。アジアからの加盟は初めてで、共通の文化を持つ他国との交流促進が期待される。
村と世界結ぶ架け橋に
IATRはオーストリアに事務局を置き、ドイツ、スペインなどヨーロッパを中心とする13か国と49の団体・個人で構成する。筏は中世から木材などを運ぶ手段として利用され、このうちスペインでは、社会的結束を高めるために、筏師たちが巧みに川を下る様子をデモンストレーションする祭りが現代でも行われている。IATRでは、1991年の設立以降、多国間で筏文化の継承に取り組み、2022年に念願だったユネスコ無形文化遺産登録を実現した。
同じく約650年の長い筏文化の歴史を持つ北山村も参加を希望し、フランク・ティエリ会長にコンタクトしたところ、各加盟国の同意を得た。ティエリ会長は「どのように筏が運航されていたのか、どのように継承されるのか、勉強できることを楽しみにしている」と期待を寄せた。村は声明で、「加盟が世界の伝統筏文化ネットワークの一員として認められたことを意味する」と強調。「村と世界を結ぶ大きな架け橋となる」とした。村によると、ヨーロッパからの距離や所要時間、気候などを事細かに質問されたといい、村の担当者は「幹部の視察があるかもしれない」と話した。
村では、運搬業務で培われた筏流し技術を継承するため、現在も現役の筏師が木製の櫂(かい)で北山川を下る「観光筏下り」が運航されている。村によると、現在は20代から60代までの16人が筏師として活躍しており、女性もいるという。村観光協会会長で自身も筏師の山本正幸さんは「北山の振興に結び付けば。世界的なつながりができて喜ばしい」と語った。筏の形状や物資運搬という使用用途など似通っている部分は多いが、現在も日常的に観光産業として活躍しているケースは非常に珍しいという。山本さんは「交流が促進されてほしい」と、独自性のアピールに期待した。
観光筏下りは、17年に和歌山県無形民俗文化財、24年に日本林業遺産に認定されたほか、昨年初めて乗船者1万人を突破した。
