新宮道路の早期着手も要望
新宮市の上田勝之市長は20日、市役所で記者懇談会を開き、市政運営の状況や今後の展望などについて報道関係者と意見を交わした。昨年10月の就任から半年が経過したのを契機に初めて計画。今後も月に1回程度、開いていくという。初回のこの日は、今年2月に国史跡の指定範囲が拡大した新宮城址の観光面での活用に意欲を見せるとともに、王子ヶ浜での盛り土による津波対策堤防兼用となる新宮道路の早期着手を引き続き国に働き掛けていく考えなどを示した。
上田市長は冒頭、「課題山積の中、子育て世代への給付金や高齢者のタクシーチケットの増額など、生活に密着した支援金や給付金は当初予算で、道半ばではあるが、ある程度予算化して政策を実現してきた」と述べ、4月の機構改革のより新設したデジタル推進課と空き家対策室の取り組みを説明した。
デジタル推進課では、生成AIによる事務量の簡素化・効率化を図り、職員の人材不足に対応するため、デジタルで担える部分はそちらに移行させ、その分職員を市民サービス向けに充実させることを目指す。
空き家対策室では、市内に4000件あるとされる空き家に専従的に対応。防災、防犯、衛生それぞれの面で懸念される放置家屋が散見されるが、空き家対策保護法に基づき整理を進めるとともに、不良空き家にさせないため、相続し管理してもらうよう促すことも取り組みの柱としている。
JR新宮駅周辺整備に関しては、先ごろ、駅東側駐車場の一角に整備を計画していた、いわゆる高級ホテルについて、公募事業者がいなかったため、現在の社会情勢を踏まえて誘致を断念する判断を下したばかりだが、駅前の再整備とJRきのくに線の活性化に向けた検討を再度行う考えを示した。駅前マルシェや駅コンサートなどでにぎわい創出に成功している事例を参考に、まずは駅に人が集まる仕掛けを行い、市民に鉄路の現状を知ってもらう点に力を注ぐ必要があるとした。
■新宮城址の整備
石垣が良好に残る城郭西側の大手が国史跡に指定されたこと、4月に新宮ロータリクラブの主催事業で新宮城址に関する講演会により市民の機運が高まっていることなどなどを踏まえ、これまで保全をメインとしていた新宮城址を、活用の部分で検討を進めることが観光振興につながるとした。民有地の公用地化にも相手の理解を得ながら取り組み、かつて存在した“日本一短いケーブルカー”をエレベーター扱いで復活できないかなど、夢のある整備に向け、有識者による検討委員会を今年度中に発足させたいという私案も明かした。
■新宮道路の早期着手
沿岸部の津波避難対策は必須で、市民からもかねて避難タワー整備などの要望が出ている。王子地区では、今後、国が整備する新宮道路がその役割の一端を担うと期待されている。新宮道路は開通済みの新宮紀宝道路と那智勝浦新宮道路と接続する延長約4.8キロの自動車専用道路。2019(平成31)年度に新規事業化され、現在は用地買収や設計が進んでいる。今年度の国の予算は3億3000万円。
上田市長は来年度の国の予算編成に向け、国土交通省に新宮道路の早期着手を要望。その際、姉妹都市の宮城県名取市にある仙台東部道路(盛り土構造)が、東日本大震災(2011年3月)による津波に対し、高台と防潮堤の役割を果たした事例から対策効果に期待できると伝えた。
