一見勝之三重県知事と尾上壽一紀北町長の円卓対話が28日、紀北町島原の若者センターで行われた。両者は観光誘客について意見交換し、熊野古道や熊野灘臨海公園の維持、伊勢神宮やリニア新幹線からの南部への誘客が話題に上がった。
尾上町長は「一見知事の『県南部での観光振興が使命』との言葉は忘れ難い」と述べ、始神テラスや道の駅、民宿、キャンプ場、熊野古道、銚子川、象の背、海水浴場といった観光資源を挙げ、「紀北町にたくさんある素材を連携し、国内外の観光客に選ばれる持続可能な観光地へと進化させたい」と述べ、県の支援を呼び掛けた。
一見知事は「われわれは三重県全体を売っていかなければならない。三重県には伊勢神宮や忍者の里の伊賀といったよいところがたくさんあるが、大消費地の東京には三重県がどこにあるかあまり知られていない。観光の予算は元々少なく、それを3倍に増やした」「(鉄道や飛行機で)東京から乗り換えなしで行けないのは三重県と奈良県のみだったが、リニアが開通すれば1時間で来れるようになる。そこから南部にどうやって人を持っていくか、という課題がある」と述べた。また、県南部が発展していくためには観光振興が絶対に大事で、一次産業にも人手がいるので移住も促進していかなければならないとの認識を示した。
国際的な観点からで外貨獲得に触れて観光のほかにもエネルギー産業の重要性にも触れ、「これからは原子力発電所の新設は難しく、温暖化対策に向けて火力発電もやめて、自然再生エネルギーを進めていくしかないが、陸上の風力発電はもう限界で、太陽光パネルも県としては規制を強めていく。浮体式の洋上風力に期待しており、県南部もエネルギーによる外貨獲得の可能性が出てくる」と述べた。
古道保全に積極関与
尾上町長は、熊野古道について「これまでは住民が必死に守ってきたが高齢化が進んでおり、県や町が積極的に関与していかなければならない」と訴え、一見知事も「これまでのようにボランティアの方々で行うのは無理があり、県や町がやっていくしかない、ということになる」と理解を示した。「熊野古道に来てくれる人は増えており、その人たちをリピーターにしなければならない」「宿泊施設やトイレ、二次交通の3つの観光インフラをしっかりと整備していかなければならない。熊野古道に携わる人がどんどん減る中、今やっておかなければ、最後のチャンスだととらえている」と語った。
会場には学習の一環で、赤羽中学校の3年生5人も来ていた。一見知事は生徒に向けて「三重県はすごくええとこです」と呼び掛け。「こんなに人が優しくて、海も山もあって食べるものもおいしいところはない。東京などに出ていくかもしれないが、やがて帰って来る価値があるので、我々も頑張って働く場所をつくっていきたい」と語った。
西田ひなたさんは「公民や社会の授業が好きで、ニュースも見るので、とてもよい機会だった。観光振興もよく聞く施設について聞けて身近に感じられた。受験がんばって、と声を掛けられたので、がんばりたい」と話した。
