車のラジオが受信できなくなって2週間、AM民放2局だけ「ガーガー、ピーピー」の謎が解けた。
変なことに、熊野へ行くと聞ける。ラジオが壊れたのではなかった。低コストのFM放送へ転換する動きが進んでおり、中継局を休止して影響を調べる実証実験の対象に尾鷲が入っていた。
尾鷲中継局は来年9月30日まで休止の予定。今でもワイドFM対応のラジオ機か、スマートフォンやパソコンでインターネットのradiko(ラジコ)を使って聞けるが、この2択にはすぐになじめない高齢者が多いに違いない。ラジオを日常の友としているリスナーには大きな環境の変化である。
突然聞けなくなって戸惑った人は少なくないはずだ。放送局と電波を管理する総務省の周知は十分だったといえるのか。災害時の情報入手の懸念も残る。
実証実験を踏まえ、2028年までに中継局の撤去やFM転換を判断するという。100年の歴史を有すラジオ放送が大きな節目を迎えた。眠気と闘いながら深夜放送に聞き入った昔が懐かしくよみがえる。
(N)
