記者という仕事柄、根も葉もないガセから、かなり信ぴょう性のある話まで、まちの情報に接する機会は多い。許可が出なかったり、最後の確証がとれず、書けないこともままある。
夏だったか、尾鷲市内で何かの撮影があった。聞きつけて直に交渉し、現場のスタッフの方も問い合わせてくれたものの、流石にいきなりの取材対応は難しく、すごすごと引き下がった。何の撮影かを聞いたが「リリース前に情報が出ることを避けたいので」と、もっともな言い分で退けられた。
結局あの撮影は何だったのか、忘れかけたころ、とあるKポップアイドルのMVを見かけた。明るい曲調に合わせて映る漁港、魚屋、中華料理店、喫茶店、古民家は全部見覚えがある、というか、場所まで分かる。MVは1週間で2000万回再生を超えていて、SNSではアーティスト名や具体的なロケ地まで出ていて、聖地巡礼のマナー啓発まで行われている。情報を出しても良い気もするものの、「どうしよっかな」と、ぎりぎりと悩むところではある。
(R)
