酒は強い方ではないが、決して嫌いではない。酒の味や酔いというより、あの飲み会の明るい雰囲気が好きだ。
もちろん酒を強要するのはよくないが、時には杯を重ねて腹を割って語り合うことも、新しい知己や知見を得ることにつながる。かの文豪ヘミングウェイだって「他人をより面白い人間にするために、私は酒を飲む」と言っている。詩人のフリードリヒは「酒が作り出した友情は、酒のように一晩しか持たない」と言うが、一晩の友情に酔うのも一興だろう。
「酒が飲めるぞ」のフレーズで有名な『日本全国酒飲み音頭』は、元々は留学生が日本の行事を覚えるための替え歌だった、と聞いたことがある。酒は文化や人種、わだかまりをも超えることもあるのだろう。理屈はどうあれ、ただ飲みたい気もするが、そこには目をつむることにする。気楽に酒が飲めるのは、平和だからこそだろう。
尾鷲ではコツまみバルが開かれる。うまい肴(さかな)があり、尾鷲のまちが盛り上がる素晴らしい企画である。さあ皆さん、「酒が飲めるぞ」。
(R)
