新宮市と市社会福祉協議会は10月31日、市福祉センターで令和6年度地域支え合いフォーラム「みんなでつくろう!わがらのまち」を開催。約100人が参加して、摂南大学現代社会部講師の上野山裕士さんによる基調講演や地区活動発表を通じて、地域での支え合いの大切さについて再認識する機会とした。
新宮市では、「住み慣れた地域でいきいきと暮らしたい」という市民の思いを実現するため、地域包括ケアシステムの構築を目指しており、その一環としてフォーラムを開催した。
地区活動発表では、3組の取り組み事例が紹介された。有限会社あおぞら代表取締役の村瀬晴昌さんは「多世代の気軽な交流場所づくり」として、実家の空き家を新たな地域の居場所として開放する「村瀬さん家(ち)」について説明。地域での見守りや交流のきっかけとなるコミュニティ作りを目的に毎月1回開催し、1周年を迎えて徐々に定着してきたという。
上野山さんは「これからの地域共生社会には、制度だけではなく地域の支え合いが必要。地域貢献の発想が素晴らしい。今後の展開である参加者が活躍できる場の提供をぜひ実現してほしい。助け合いや学び合いの空間を作ることで、互いのリスペクトが生まれる」などと講評した。
市内広角の地域組織「わがら広角」(中野末子会長)は、活動の一環である「婚竹笑(こんちくしょう)モーニングカフェ」について、中野会長と場所を提供している田中みちよさんが紹介した。地域を盛り上げようと今年1月にオープンし、毎月1回開催。「子どもから高齢者までいつでも誰でも来られる安心できる居場所になっており、顔見知りになることで支え合いにつながっている」と話した。
上野山さんは「地域の拠点づくりには空間も大切だが、参加者にとって精神的な居場所になるかも重要。カフェは両方を備えている。世代を超えてつながることの楽しさを感じてもらうために、参加へのハードルを下げることも大切で、若い世代に対する温かい気持ちが素晴らしい」と述べた。
このほか、県立新翔高校の「地域・未来づくりプロジェクトチーム」の活動についても発表があった。令和4年度に立ち上げ、現在は15人の生徒で活動。ボランティアやイベントへの参加など、地域と連携・協働して地域の活性化に取り組んでいる。
基調講演では、上野山さんが「地域共生社会を『みんなでつくる』」をテーマに講話した。