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社説「住民への還元 今行うべきでは」

 自治体には一般家庭の貯金にあたる基金がある。大きく分けて、特定の目的のための基金と、収入不足を補ったり余ったお金を積み立てたりする財政調整基金(財調)がある。この基金合計が新宮市で約100億円、紀宝町で約43億円ある。基金が少ないと将来にわたる不安は大きいが、一方で多すぎるのも考えもの。必要な時期を捉えて、納税者である住民に還元していくことが大切になる。

 長引く物価高により住民生活は苦しい状況が続く。10月からはさらに値上がり品目があり、まさに悲鳴をあげたくなる。コロナ禍中は住民生活や地域経済の支援を目的に、本紙エリアの各自治体では商品券配布をはじめとした事業が見られたが、現在も継続しているところは少ない。還元が必要な時期というのは今ではないか。
 
 新宮市と紀宝町では29日、新宮紀宝道路の今年秋の開通を記念したイベントがある。熊野川河口大橋での綱引きと、ギネスに挑戦する木材並べ。地元の悲願の道路開通を祝うイベントとして盛り上がることが期待される。このような一過性のイベントへの補助金も必要だが、住民生活に直結した部分への“投資”にも積極的な姿勢を求めたい。
 
 新宮市は今年度、高齢者の移動手段確保として1人当たり1万2000円分のタクシー券配布事業を始めたが、500円券のためタクシーのワンメーター料金にも不足し使い勝手が良いとは言えず、月に2回通院や買い物で利用すれば半年でなくなってしまう。市議会でも配布事業は評価しながらも増額や次年度以降の継続を求める議論がされている。これまで長きにわたり納税や勤労でまちの発展に貢献した高齢者に向けた施策を、もう少し手厚くするのはそれほど難しくないことでは。恩恵を受けずにまちを去るという人を出さないためにも、当局は早急に取り組むべき課題と認識すべきだ。
 
 また、市内各所の道路を見ると、舗装が老朽化して凹凸になっている箇所が目立つ。簡易的な補修で対応している箇所が多いが、安全面を考えると、必要なインフラ整備として、抜本的な対策を計画してもらいたい。
 
 新宮市には「海・山・川が輝く世界遺産のまち」というキャッチコピーがあるが、玄関口である新宮駅外側のトイレが使用できなくなった問題をとっても中途半端と言わざるを得ない。まずは住民が「住んでよかった」と思えるまちにするために、住民に寄り添った施策を充実させることが大切。当局と議会ともに、住民ファーストの意識を常に持って行動してもらいたい。
 

      9月27日の記事

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