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社説「正確な情報で落ち着いて行動を」

 南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が8日、初めて出された。南海トラフ巨大地震が発生する可能性が普段と比べて相対的に高まっていることを示すものだが、「すぐに巨大地震が発生する」とか、具体的に「いつ」「どこで」「どのような規模の」地震が起きるのかを予測する情報ではない。「巨大地震注意」という言葉は大きなインパクトだが、どのように受け止めて行動すればよいのか、難しさがある情報といえる。

 政府や有識者は「日ごろからの地震への備えの確認」を繰り返し呼び掛けている。これを受けて、住民らは備蓄品を急いで買い求め、新宮市内のスーパーでは8日夜に、ペットボトルの飲料水コーナーが空っぽになった。住民の防災意識は一気に高まった形だが、買い占めが進めば必要なところに行き届かなかったり、パニックになったりするおそれもあり、落ち着いた行動が求められる。
 
 すぐにできる対応としては、家具の固定、非常用袋を準備して玄関に置く、避難場所や経路の確認、家族の所在を常に把握することなどが挙げられる。これまでにもさまざまな機会を通して自治体から呼び掛けられたことだが、今回の臨時情報では、これまでとは違う切迫感を持った人は多いのではないか。いつ発生するか分からない地震を常に意識しながらの生活には息苦しさもあるが、身近な防災対策を定期的に点検するきっかけにしてもらいたい。
 
 非常時こそ、正確な情報を入手する意識が大切。政府は、臨時情報を発表している1週間は、自治体からの情報に特に注意するよう求めている。災害時にはSNSを通じて、根拠のないうわさ、フェイク(偽)画像、寄付を募る偽情報が広がりやすくなる。災害時にはデマが必ず広がるものと認識し、本当にその情報が正しいのか、冷静に判断しなければならない。また、不確実な情報を安易に拡散しないことも意識してほしい。
 
 災害に乗じた詐欺にも注意が必要。「発生を事前に予知できる」「壁等の修理が必要」「非常持ち出し品を安く購入できる」などと言って金銭をだまし取る詐欺被害が予想されるとして、和歌山県警は、おかしな電話やメールなどがあれば、すぐに警察に連絡するよう呼び掛けている。
 

      8月 9日の記事

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