技術やサービスが国際規格から外れて独自で発展する〝ガラパゴス化〟は、携帯電話などの日本の製造業を批判的に表する言葉だが、浮世絵や日本刀、近年ではアニメや漫画などのサブカルチャーなどガラパゴス化した故に世界的な評価を受けるコンテンツは珍しくない。近い世界でコツコツと質を高めていたものが「こんなにすばらしいものがあった」と見つかり、世界中で評判を集めることもある。

 

　昨年以上の人を集めた燈籠祭は、実行委員が「昔からやっている小さな町の花火大会」と評していたが、少し謙遜が過ぎるようにも思う。地元の誇りをかけて磨き続けた結果、その質の高さが〝見つかった〟と言える。混雑対策の清掃協力金１０００円は穏当な部類といえる。

 

　銚子川の臨時駐車場料金も同じく１０００円なのは、紀北町民の慎み深さと善良さを表している。もちろんそれは人間や地域としての美徳ではあるが、伝統や自然環境の維持のためにも、自分たちが持っているものの良さを信じ、もう一歩強気に出てもよいのでは。

 

（Ｒ）