取材で〝さかさま不動産〟の説明を受けた。従来の不動産取引とは逆に、物件を借りたい人の情報を提示し、貸したいオーナーが申し出るマッチングサービス。借り主はほぼ商売をしたい人なので、商店や事業の誘致の形になるのが興味深い。
借り主の意見を見ていて『置かれた場所で咲きなさい』という言葉を思い出した。住むまちを主体的に選ばず、必要とされる場所で、自分が望んで周りにも求められている仕事するという生き方は、今の若者の理想の一つでは。
収入面も過疎化が進むまちならではのリスク回避はできないか。商売としてすでに確立されていても担い手の高齢化や人手不足による廃業があり、これを兼業や副業で継承できれば生活の安定も図れ、顧客になり得る住民と交流できる。地域としても利便性が維持できる。
私自身が縁もない尾鷲に移住してきた身だが、見慣れた海と山を眺めながら指折り数えると、「やはま」「おうが」「がた?」と読んでいた頃からもう8年が経つらしい。確かに、置かれた場所は良いまちだった。
(R)