先日、とある夏祭り会場で懐かしい食べ物を見かけた。その名も「ゴリラ」。知る人ぞ知る「エビゴリ」の前身である。ソースを塗ったせんべいの上に千切りキャベツや魚肉ソーセージを乗せた食べ物で、旧市内にあった駄菓子屋のおばちゃんが開発したもの。ある特定の地域と年代の人にだけ突き刺さるソウルフードである。
子どもの頃にその店に通っていた人の話では、もともとゴリラのパッケージのカレー味のせんべいを使っていたが、入手困難となったためエビせんべいに変更になったという。エビゴリは、エビせんべいのゴリラの略だそう。リーズナブルにお好み焼き風のおやつが食べられると、小中学生に大人気だった。
その駄菓子屋は約50年に渡って営業を続け、昨年秋に惜しまれながら閉店した。長きに渡る営業期間の中では、親子でお世話になったという人も少なくない。
店はなくなってしまったものの、今回の夏祭りでの復活のように、意思を受け継ぐ人は確かに存在する。私は常連ではなかったが、子どもの頃の思い出とともに、久しぶりに食べたくなってきた。
【織】