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道中記や地図など紹介 収蔵品から熊野古道伊勢路知る

 熊野古道世界遺産登録20周年を記念して、尾鷲市向井の三重県立熊野古道センターは特別展示室企画展「収蔵品に見る熊野古道伊勢路」を開いている。9月1日(日)まで。
 
 同センターが所蔵している道中記や地図などを紹介し、熊野古道伊勢路ととともに、センターの資料収集について知ってもらうことがねらい。
 
 厚めの和紙の裏表両面に描いた道中図の『独案内図(ひとりあんないず)』、西国巡礼の行程や距離などを示した『西国道中絵図』などの実際の旅に役立つガイドブックのほか、文政8(1825)年から何度も再版されたベストセラー『西国順礼道中細見大全』や『西国順礼道中杖』『順礼しなん車』『西国順礼旅雀』など江戸時代の道中記を解説。伊勢神宮の挿絵や浜街道の様子を描写したものや、ところどころに間違いと思われる記述も確認できる。
 
 また、天保年間(1830~1844年)の信州松代西篠村(現在の長野市)に住んでいた甚左衛門・りせ夫妻の西国巡礼と四国遍路の旅を道中日記や納札、往来手形、納経帳などから紐解いている。伊勢からおよそ一週間ほどで那智勝浦に到着している。
 
 このほか、近代の熊野古道伊勢路についても案内書や道中記から紹介している。興味深いのは、各地の旅籠が提携して結成した旅宿組合の「講(こう)」で、『御師講社』という講組織は田丸(現在の玉城町)の旅館が世話人となり、伊勢山田から熊野古道伊勢路、中辺路、粉河(亜和歌山県紀の川市)までの旅館名が確認できる。「粉河駅」が確認できるため、駅ができた明治33(1901)年以降のものとみられる。
 
 特別展示室の開場時間は午前10時から午後5時まで。

      6月26日の記事

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