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紀南抄「AIと生きる」

 ヒトははじめ、獣だった。それが知性を持ち、文明を発達させてきた。いつの時代も、知性において人より優れた者は現れなかった。だから、人を人たらしめる理由はこれまで、知性であったはずだ。

 しかし、AI(人工知能)が現れた。対話側AI「ChatGPT」を手掛けるアメリカのオープンAI社が13日に発表した新型AI「GPT−4o(フォーオー)」では、処理速度が従来の2倍になり、話しかけると人と同じ反応速度で会話ができる。質問をすれば、それなりにもっともらしい回答が返ってくるのである。
 
 思考することについて、AIが人を凌駕(りょうが)することになれば、これまで思考にこそ自らの存在の定義を頼んでいた人類は、従来の「人間性」を失う。
 
 そこで、人間性の再定義が必要となる。ここで重要になってくるのが無意識の領域ではないか。AIには、目的や意味がなければ思考ができない。しかし人は理由もなくぼーっとしたり、石を集めたり、散歩したりする。無意識に見る夢の中では、なんの脈絡もない青天の霹靂が連続する。AI時代で、「生きる」を考える。
 
【稜】
 

      5月30日の記事

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