中学校の遠足以来約30年ぶりに、新宮市の世界遺産・熊野古道「高野坂」を歩いた。熊野速玉大社から熊野那智大社へ巡拝する人たちが通った中辺路ルートの一部。汗ばむほどの陽気の中、道端に咲くタンポポやレンゲのかわいらしい姿に癒やされながら、1時間ほどのウオークを楽しんだ。
子どものころの遠足といえば孔島が定番で、何度通ったか分からないほどの道。苔むした石畳、王子ヶ浜の雄大な眺望、木々の間から見える断崖絶壁の御手洗海岸。当時は遠くて嫌で嫌で仕方なかった道程も、大人になった今じっくりと歩いてみると、先人が長い年月をかけて築いてきた歴史に思いをはせ、同じ道を歩いているという奇跡を肌で感じることができた。
アップダウンの少ないルートなので歩きやすいが、階段を登っていると知らぬ間に息が上がっていた。一緒に歩いている人に指摘されて気づき、自分のあまりの体力のなさに失望しつつ、以前からやろうと思っていたジョギングを本格的に始めようと思うきっかけにもなった。ちょうど季節も暖かい春を迎える。
【織】