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紀南抄「”なぜ”の議論」

 新宮市が2024年度当初予算案を発表した。ソフト事業が多く、子ども医療費助成の拡充や子育て世帯訪問支援など、国の方針とも合致した内容となっている。

 全国の自治体では兵庫県明石市が先進的な子育て政策を行った。その基礎を築いた泉房穂前市長は、大事なのは「ここでなら産んで育てられる」といった安心感だとしている。また、政策のねらいとして、子どもを応援すると経済が活性化するという考えがあったという。

 新宮市では“何を”“どのように”は語られるが、“なぜ”子育てに注力するのかの議論が十分ではないように思う。「地域が元気になる」と言えばよい感じは受けるが、より具体的に、切実に、全体でどのようなメリットがあるのか、そのためにどこで予算を引き締める必要があるのか、そもそもどのようなあり方が新宮市らしさであり、未来の姿としてどうありたいのかといったことまで突き詰める必要がある。

 それを“ビジョン”というのだろうが、そういう力強い意志のもとで本気の支援を行わなければ、一般市民が体感できるレベルの「安心」には届かないのではないか。

【稜】

      2月26日の記事

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