JRきのくに線の新宮ー串本駅間で行われた「鉄學」を取材した。沿線地域の歴史文化を学びながら、地震・津波からの率先避難者を増やすための避難方法を体得してもらおうと、和歌山大学とJR西日本和歌山支社が共同で行う取り組み。訓練の取材では、自らも列車を降りて坂道を駆け上がり、息を切らした。
地震発生と津波からの避難を呼び掛ける乗務員の声が何度も響き渡り、参加者も一目散で高台を目指すという緊迫したものだった。元日の能登半島地震の発生直後、NHKの女性アナウンサーが「すぐに逃げて、東日本大震災を思い出して」と強い口調で繰り返し呼び掛けていたのを重ね、有事の際は身分や立場に関係なく、助かるための最善を尽くさなければならないと感じた。
同路線の利用者は高校生と高齢者が大半。ワンマン運転のため乗務員は1人で、有事の際は高校生たちが率先避難者として、居合わせた高齢者を支援しながら避難することが求められる。訓練を一度でも体験すること、また、普段の乗車時から頭の片隅に留めておくことでいざという時に行動できるのではないか。
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