少し前、自民党の幹部が、「経済対策で減税措置を打ち出すのであれば、衆議院を解散する大義になり得るという考えを示した」とニュースになった。増税しなければならない時に、増税に理解を求めることは必要だが、減税に信を問うなら、多くの国民は反対しない。憲法の運用が、実質的に与党の意向のみによる衆議院解散を認めてしまっているからこんな話になる。
国の昨年度の税収は71兆円台で、初めて70兆円を超えたという。前年より4兆円ほど多いが、それでも不足分約50兆円は国債。2025年度にプライマリーバランスを黒字化(新たに追加の借金をしなくていい状態に)するという目標はどうやらまた、先送りになりそう。
これから、防衛費や子育て予算の不足をどうするか、という議論が本格化する。減税よりも増税ベースであることは疑いがない。地方では、水道、消防や病院の維持など、生活コストが徐々に高くなることも考えられる。一時の「減税」に惑わされてはいけない。
(M)