地域について学ばなければならないことは多い。昨年亡くなった土井恭平氏のことを知るべき、と言われ、家系図を見せていただいた。恭平氏からさかのぼり、紀北信用金庫理事長を務めた周平氏は、兄弟に三菱商事社長、静岡銀行頭取、阪急電鉄副社長、阪急不動産副社長と「華麗なる一族」と形容できそうな三村家からの婿養子にあたる。
血族で取り込むだけの価値が尾鷲の山林に見いだされていたと言えるが、このつながりは尾鷲にもたらしたものが大きいことは想像しやすい。先進的なノウハウや人脈を活用してインフラ整備や企業誘致を進めていく、この仕組みは近代における地方発展の典型的な形であり、現在の当地方衰退の要因の一つが山林価値の低下だと考えられる。
時代は移り変わり、カーボンニュートラルで山林に新しい価値が見いだされるようになった。山林が価値を取り戻すのであれば、尾鷲ヒノキのブランドの維持、林業を死守することが、この地の再生の芽を残すことにつながるのではないか。
(R)