小学校低学年のころ、市民病院に入院する祖父の見舞いに母と列車で頻繁に出掛けた。わずか一駅だったが、列車に乗るのが楽しみだった。三重県の旧海山町(現・紀北町)の病院に転院後も何度か列車で1時間以上かけて訪れた。車で送るという親戚の誘いを断ってまで列車にこだわった。
先日、JR西日本の観光列車「銀河」のミニツアーが行われ、約10倍の倍率の中から選ばれた100人の家族連れが列車の旅を満喫した。JR西日本によると、きのくに線の白浜~新宮間は赤字路線で、すぐに廃線という議論にはならないものの、将来が保障されているわけではない。特に被災した場合など、復旧してもらえるのかどうか。沿線自治体などでつくる協議会で利用促進に向けた検討を続けているが、利用客増へ特効薬はない。JRの担当者は「まずは自治体職員の出張などで利用を」と訴える。
銀河のミニツアーを何度も行うことは難しいかもしれないが、子どもたちを楽しませることによって家族で列車を好きになる。子どもをターゲットにした催しを自治体などと連携して開催してほしい。
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