渋谷区長が「ハロウイーンに来ないように」と異例の呼び掛けを行っている。渋谷のハロウイーンで狂騒する若者を見て、あれは彼らにとって〝祭り〟ではないのか、と思うことがある。
日本のハロウイーンは楽しいコスプレパーティーであり、まちに根付いた伝統とは言えない。イベントは地域に負担をかける場合があるが、無関係な人にはそれを受け入れる理由がない。大きな企画は裏で支える存在が必要不可欠であり、「楽しい」だけではうまくいかない。
マナーから外れる行為があっても、地域の祭りであれば、周りの大人がたしなめたり、「伝統だから」と定められたルールで秩序を維持することもできる。
人には時に団結し、交流し、非日常におぼれる祭りが必要だとすれば、あの狂騒は、地域から祭りが失われていく中、都市部で生まれ育った若者が、疑似的な祭りを本能的に生み出しているのではないか。
今年の八幡祭は4年ぶりに道中踊りが復活する。この地域に祭りの活気が戻ることは、この上なく幸いなことである。
(R)