山口県上関町が原発の使用済み核燃料の中間貯蔵施設建設に向けた調査を受け入れる意向を表明した。原子力発電や各町村の判断の是非を論じる気はない。ただ、背景にある過疎化に思うところがある。
上関町を調べてみると人口2300人で高齢化率は59%。クルマエビの養殖やビワ、瀬戸内海を望む道の駅や温泉もある。地活性化のための知恵は絞り尽くした、と察する。
日本全体で人口が減少する局面に入り、一部の都市部を除いて過疎化は深刻となっていく。最終処分場の文献調査が行われている北海道の寿都町は2600人、神恵内村は700人、再処理工場建設中の青森県の六ケ所村は1万人。海の幸や自然の豊かさでまちの将来が明るくなればどんなにいいか。人口が減り続けるまちにいつまで希望が持てるのか、答えが見えない。
同じく過疎化に悩み、地域存続をかけた決断をした彼らは、住むまちが違うだけの私たちだ、と思っている。彼らの決断が正しかったのかどうか、数十年後には答えが出ているのかもしれない。
(R)