先日、新宮東牟婁で定年まで中学校教師をしていた方に学校統合について伺う機会があった。その人いわく、財政を考えれば仕方ないのかもしれないが、教員からすると「やっと一人一人に目が行き届く人数になったと思ったら統合して受け持つ生徒が増える」感覚とのことで、一つの学校の児童・生徒数が減ることが即よくないことのように扱われている現状を心配していた。

　たしかに少人数校へ行くと、教師が生徒個別の事情を把握しており、教師生徒間のコミュニケーションも活発であるように思う。子どもとの距離が近いことが必ずしもいいとは言えないが、その元中学校教師が「４０人クラスでは正直、全員に目が行き届いていたか疑問」としたように、人数が減ったから単純に「では統合を」としてもう一歩踏み込んだ議論が起こらないのは健全ではない。統合して全体の学級数が減るなら、教師１人の負担も減るはずである。財政的なことで言えば、教育費を「削れるから削る」というのも問題だろう。

　個に応じた指導や郷土学習など、数が少ないならなおさらに、質の議論を深めてもらいたい。

【稜】