「桃李(とうり)もの言わざれども下(した)自ら蹊(みち)を成す」−。桃やすももは何も言わないが、花や実を慕って人が多く集まるので、その下には自然に道ができる。転じて徳や人望、魅力のある人のもとへは人が自然に集まることのたとえである。
近大新宮で生徒会主催の「七夕ランタンフェス」があった。高校生徒会長の前田さんが中心となって進めてきた企画で、そこに生徒会メンバーはじめボランティアが加わり、幻想的な風景を体育館に浮かび上がらせた。
イベントが終わり体育館の照明が戻ると、前田さんはステージ上で脱力し、座って一息。しかし自分が取材を申し込んでいたので、もう一度気合を入れ直して応じてくれた。喜びと安堵の清々しい表情が、不安もある中で一生懸命に動いてきたのであろうことを物語っていた。
この地方でもいろんなイベントがあり、いろんな人がいろんな関わり方をしている。誰かが一人だとしてもやろうと決心し行動したところに、自然に協力者が集まり一筋の道が開けていく。真心が浮かべたいくつものランタンの優しい明かりが心に染み渡った。
【稜】