いつだったか、橋本徹氏が大阪市長に当選した際、投票率の低さからその結果の妥当性が疑わしいとメディアの批判を受け、橋本氏は反論として「フィクションとしての民主主義」という考え方を示していた。それは、有権者の考えや要望を純粋に反映させる理想の民主主義は実現しえない前提で、選挙で当選した人を住民の代表者として受け入れている現在の民主主義の仕組みをとらえた言葉である。無投票当選であっても有権者の代表となれる以上、選挙をした以上は投票率に関わらず結果を受け入れなければならない。
だからこそ、当選者には責任感と自覚を持って仕事をしていただきたい。25日投開票の那智勝浦町議選の投票率は過去最低を更新する63.15%。最も身近な選挙でのこの数字には、町選管もこたえていた。しかし実際に議員になったら、尽くす対象は100%の町民全員ではないか。
耐え忍ぶコロナ禍から一転、アフターコロナは攻勢を仕掛ける時。町民の票と声をまっすぐに受け止め、町当局と時に対峙し時に手を取り合い、積極的な姿勢で思いを実現させていってもらいたい。
【稜】