うわさは不思議だ。人から人へ伝わるうちに勝手に一人歩きを始め、最初とは違う姿に変わっていく。根も葉もないのにまるで真実の巨木のようにまかり通る。そんな妖怪である。
声が大きくて自信ありげな人の話は真実のように聞こえる。そういう人の中にはうわさ話が好きな人も多い。伝え聞いた情報を真に受けて、その真偽を確かめる発想すらないままに、それをまた違う人へさもありげに伝えてしまう。
好奇心も、人を信じる気持ちも素晴らしいものだ。しかしそれらと、情報をうのみにして思考停止することとはまるで違う。うわさのこわいところは、人が面白がる方向へねじ曲がっていくことである。みんなが少しずつ自分の解釈を足していくことで、ありもしない事実や過激な表現ができあがっていく。
万が一うわさを聞いた時には興味を持たないか、情報元を尋ねる。自分がうわさの対象にならないためには、うわさ話が好きな人との接し方に気を付ける。うわさされていることを知ったら、一つ一つ冷静に否定する。もともと根も葉もないのなら、対処をしっかりすればいずれ消える。
【稜】