新宮市熊野川町の熊野川地域フラワーツーリズム推進協議会(下阪殖保会長)は24日、同町田長の田んぼで鯉(こい)のぼりの設置作業を行った。同協議会メンバーら約10人が作業を進め、6本の柱に計30匹の鯉のぼりを空に泳がせた。
同協議会は、地元の有志などで組織されている。鯉のぼりの設置は、同町も大きな被害を受けた紀伊半島大水害(2011年)からの復興を祈念し、始められた。新型コロナウイルスの感染拡大で実施できなかった年を除き、毎年この時期に実施しており、今回で11回目となる。地域の風物詩として定着している。
作業は、地元の熊野スギを使用した高さ約12メートルの柱をクレーンでつり上げ、田んぼに掘った穴の中に入れて固定した後、1本の柱に5匹ずつの鯉のぼりを取り付けて、空へと掲げた。
同日は風が吹くことが無く、風になびく鯉のぼりの姿を見ることはできなかったが、30匹の鯉のぼりが風に泳ぐ姿は一目見れば圧巻されるだろう。
下阪会長は「今年はコロナ禍がやっと落ち着きを見せたということで、メンバー一同マスクを外して作業を行い、日常生活でも同様の形で過ごせれば」と語った。「大水害から12年目を迎え、当時の凄惨な被害を忘れそうになりますが、毎年この鯉のぼりを揚げる度にあの時の状況を思い出し、二度とあのようなことが起こらないことを願っています」と思いを述べた。また、「鯉のぼりは自己満足の面もありますが、毎年この時期になると、家族連れの親子が鯉のぼりの付近を散歩する姿が見えるので、楽しんでいただいていると思うとうれしいです」と笑って話した。
鯉のぼりは5月14日(日)ごろまで掲げる予定。