3月に入ると東日本大震災の話題が多くなる。12年前、防災研修会を取材していたところ、遅れてやってきた他社の記者が「大地震や。訓練じゃないで」と知らせてくれた。当時はスマートフォンではなく、いわゆるガラケーを使っていた。車に戻ってラジオを付けると、刻々と津波注意報、警報の情報が入ってきた。到達予想時刻を気にしながら、海の見える高台で2時間ほど海の様子を見ていた。
テレビで報じられる映像は非常に衝撃的なものだった。「つなみてんでんこ」という言葉があるように、東北地方の人たちは、地震・津波の怖さを知っているから、ほとんどの人は高台に逃げるのではないかと考えた。当日夕方の報道では死者数はそれほど多くなかったが、結局は2万人ほどの方が津波に飲まれて亡くなった。
子どもの頃から、東海地震はいつ起こってもおかしくないと言われていた。それから30年近くが経過している。政府の地震調査委員会は今後20年以内に南海トラフでマグニチュード8~9の地震が起こる確率は60%程度としている。「いつ起きてもおかしくない」状況がさらに切迫している。いざ起きたらどうするか、心構えが必要だ。
(M)