政府は自動車の走行距離に応じて税金をかける「走行距離課税」の導入検討を行っている。電気自動車やハイブリットカー、カーシェアリングの普及により不足しつつある税収を確保するためのもの。10月の参院予算委員会で鈴木俊一財務大臣が、電気自動車が燃料課税による走行段階での課税が行われていないこと、ガソリン車よりも重量があり道路の損壊に与える影響がむしろ大きいことなどを理由に、導入について「一つの考え方だと思っている」としたことで話題となった。
導入された場合の懸念点として、地方の負担増が指摘されている。交通網の発達した都会と比べ、車が生活の基盤となっている人々にとっては打撃。賃金水準が都会よりも低い地方の負担が増えれば、都会への人口集中も加速するかもしれない。また運送業界や交通業界への影響は物価高につながりかねない。
当地方でも車は日常的に使われている。この地域の良さの一つは、お金を使わずとも豊かな実りを分け合えたり、助け合えたりすることだ。だからこそ、都会の論理で一方的に物事が進んでしまわないよう注視したい。これはその一例ではないか。
【稜】