秋の深まりとともに日の出が遅く、夕暮れ時間は早くなった。全国旅行支援が11日から始まり、当地方へ車で訪れる観光客も増える。年末にかけて交通事故には気を付けなければならない。
先日、御浜町阿田和の国道42号で早朝、横断中の歩行者が車にはねられ意識不明の重体となる交通事故があった。横断中の歩行者の安全確保は、交通安全運動の重点項目に掲げられるなど、このところ警察が関係団体とともに力を入れて啓発している。横断歩道で横断しようとする歩行者がいれば、車は一時停止しなければならないと道路交通法で定められ、違反すると罰則が適用される。
熱心な啓発が奏功し、当地方でも以前に比べて一時停止する車が増えてきた。それでも過去に、一時停止率全国ワーストを経験した三重県では、歩行者の安全をより確実なものとするため、手を少し挙げて横断の意思を示す「ハンドサインキャンペーン」を推奨。調査によると、手を挙げない場合の停止率が37・4%に対し、手を挙げると停止率は85・1%にまで上昇した。
一方で、歩行者自身が「歩行者優先」の意識を強く持ちすぎると、思わぬ事故につながってしまうこともある。車が完全に停止しないうちに横断歩道を渡り始めたり、横断歩道のない場所で無理な横断をしたり。紀宝署では、一方の車が停止しても、反対側の状況もあるため、左右の安全を確認してから渡ること、さらに横断中も周囲の状況を気にすること、横断歩道が近くにある場合は必ずそちらを利用することを呼び掛けている。歩行者も"車は急に止まれない"ことを理解するとともに、双方が互いにルールとマナーを守ることで交通事故は確実に少なくなるだろう。
また、三重県警では10月1日から12月31日まで、「夕暮れ時ちょっと早めのライトオン運動」を実施中。薄暮時、ドライバーが周囲の状況に気付きやすくすると同時に、自車の存在を他車や歩行者に知らせる意味もある。歩行者も反射材を着用するなど、自らの安全確保に努めることが大切。秋から冬にかけては黒系統の服装が多くなるため、自分が思っている以上にドライバーからの視認性は悪くなることを頭に入れておいてほしい。