尾鷲市の出口前教育長の再任が議会に反対された。もちろん議会は執行部の追認機関ではなく、幼稚園廃止とこども園設置、給食センターなど教育施策の是非を問われるのは教育長の職責ではある。ただし、一部の反対討論の内容について思うところがある。
前教育長の任期は新型コロナウイルス感染拡大と重なる。感染症対策をしながらの学びの継続、運動会や文化祭などの学校行事の開催、児童生徒の心のケアなど、山積する課題の中、教育現場は知恵をしぼりながら大過なく子どもたちを守ってきたと評価できる。その先頭に立ち、長年尾鷲市の教育に尽力してきた出口氏の熱意とリーダーシップが欠けているとは到底思えない。
出口氏は教育者として児童生徒や保護者、教職員などからも人望が厚い。20年ほど前の教育委員会職員時代、当時の教育長による収賄事件により教育長代行として事態の収拾にあたった。さらには教育長としてコロナ対策に幼保一元化と難題に直面しており、尾鷲市の教育の難局に立ち向かってきた人物といえる。議会の判断についてさておくとしても、その半世紀にわたる貢献は決して軽んじられるべきではない。
(R)