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不連続線「国葬に思う」

 先の参院選で凶弾に倒れた安倍元総理の国葬が行われた。菅前総理による友人代表の弔辞は聞いていて胸にくるものがあり、献花に訪れた人の行列は故人の遺徳を示すものではある。賛否は人それぞれで、個人としては今回の国葬はすべきではなかったと思う。

 憲政史上最も長く総理大臣を務めた人物が選挙期間中に凶弾に倒れた事件に対し、民主主義国家として毅然とした対応を世に示す、という理由づけは理解できるが、結果としてはアベノミクスや安保法案、いわゆる森加計や統一教会の問題など、安倍元総理の業績が議論されることとなった。

 そもそも政治は未来に種をまくことが重要な使命の一つであり、影響が多岐にわたる施策を正当に評価することは難しい。国葬は政治家や政策の評価を安直に決めかねない。

 今回の国葬が国民の「分断」を招いた、という意見もあるものの、政治的な主張をぶつけ合うことを果たして「分断」と呼ぶべきか。国の施策に対して、公然と賛否の声が上げられるのは民主主義国家としてあるべき姿だ。国であれ市町村であれ、発展のために互いの存在と多様な意見を尊重し合う土壌を醸成していかなければならない。

(R)

      10月 7日の記事

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