新宮市、那智勝浦町、太地町、紀宝町の議会をその時々に応じて取材させてもらうが、紀宝町議会だけ、写真撮影を断られる。
同議会は規則で議長の許可が出た場合以外の撮影行為を禁じている。9月定例会開会の取材で「写真が載った方が読者の目にとまりやすい」と考えた私は、事務局を通して向井健雅議長に確認してもらった。結果、撮影許可は出なかった。
当初予算の大綱説明がある3月議会や町長選後の所信表明がある場合などを別として、普段の議会で撮影許可は出ないという。理由を聞くと「これまでの流れで」という言葉をいただいた。すなわち、慣例である。
住民に関心を持たないでほしいなら断るのも納得できるが、慣例を根拠に、公開の議会で、住民の代表かつ公に奉ずべき議会が、報道の撮影を拒むことには疑問を感じる。写真により住民1人でも興味を持ってくれたらそれでよいのではないだろうか。透明性が叫ばれる時代にあって、撮影禁止なのは周辺自治体の議会ではここくらい。新宮市はライブ配信までしている。
住民の方には「慣れ」で物事が決定している公的な現場があることをまず知ってもらいたい。
【稜】