尾鷲市が市民1人当たり7000円分の商品券の配布を始めた。6月1日時点で住民登録があった1万6544人が対象で、月末までに各家庭に届けられるという。
尾鷲市では7月に3割の上乗せ(プレミアム)がついた商品券を発行している。1万3000円分が1万円で購入(引き換え)できる。市民一人当たり2セットまで。9月末まで尾鷲商工会議所や市内の紀北信用金庫で取り扱っている。
紀北町は、6月末から7月初めにかけて1人1万円分の「がんばろう商品券」を配布。9月中に子ども1人2万円分の「きほく子育て支援商品券」と、1世帯1万2000円分の「きほく生活支援商品券」を配ることになっている。
商品券の配布は、円安と原油高を背景とした物価高の影響が大きくなっている中で、家計支援と消費拡大を図って行われている。原資のほとんどは国のコロナ対策の臨時交付金。あと1回くらいは交付があるかもしれないが、実質的には政府として資金の担保がない中で地方に資金を供給している。大切に使いたい。
商品券事業が効果を発揮するためには〝(ちょっとした)贅沢〟をすることがポイントになる。
商品券は、限られた期間に地域内で使われることが第一のポイント。業者で片寄りは出るが、確実に地域内消費につながる。一方で、日常のものを普段通りに買うだけだと、使わなかった現金が貯蓄に回る。「余ったお金で名古屋に遊びに行こう」などとなってしまえば、地域にとって損失になる。
商店の売り上げは、仕入れ、従業員の給料などになる。住民のちょっとした贅沢が、例えば仕入れの増加や従業員の給料アップにつながり、仕入れ先も売り上げが上がることになる。地域内で原材料や品物を仕入れている店の利用が増えれば、波及効果は大きい。
家計のためには「できる限り節約」と考える人が多いと思うが、せめて配布分、プレミアム分については、外食をしたり、普段より少し上の品質の物を買ってみてはどうか。地域経済の維持活性化が、将来の暮らしやすさにつながるのだから。