絶賛断舎離中の母親から、私の母子手帳や記念冊子とともに、産まれた時の紀南新聞をもらった。40数年前の古い新聞紙。裏表1枚のブランケット版白黒印刷で、美智子さまの来新や地方改善事業補助金の記事、今はもう閉店してしまった懐かしい店の広告などが掲載されていた。ページの一角にその月の出生欄があり、そこに父と私の名前が載っていた。
当時と現在の新聞を見比べてみると、まったく別物のようだ。ページ数が増え、カラー印刷になり、文字が格段に大きくなった。弊社新聞が創刊してから70年以上。戦後の復興期から高度経済成長期を経て、平成・令和へと目まぐるしく時代が変化する中で、その時々のニーズに合わせてさまざまに紙面は変遷していった。
内容はどうだろうか。日々の紙面を埋めることに必死になりすぎていないだろうか。スピードや正確性が求められる中でも、読みやすく分かりやすい文章を心がけ、先人たちの”伝える”という意志を受け継いで、地域に密着し愛される紙面づくりに尽力していきたいと思う。母が大事に取っておいた1枚の新聞紙のように。
【織】