任期満了に伴う御浜町長選挙が9月27日(火)告示、10月2日(日)投開票の日程で行われる。告示まで1か月あまりだが、これまでのところ、現職の大畑覚氏が、町議会6月定例会の一般質問に答える形で3選を目指しての立候補を表明したが、それ以外に立候補の意思を公に示した人はいない。2018年9月の前回町長選は無投票で大畑氏が再選を果たした。今月25日(木)に立候補予定者説明会が予定されているが、2回連続無投票の可能性が高まるのだろうか。
2期目の大畑町政を振り返ると、失策も目立つ。道の駅パーク七里御浜の駐車場内にある直売所「みはまロコ」は2019年のオープンから赤字が続き、人件費分の年間約250万円は町の一般会計から補てん。町シルバー人材センターは国から補助金が交付されるところまで実績が上がらず、町から年間約1000万円の補助金交付が続いている。御浜小学校前に設置する放課後児童クラブは民間との契約(指定管理者)更新に至らず、今年度から直営となり町職員を配置することに。公設民営の流れに逆行し、サービス低下を懸念する声もある。
観光に関しては、七里御浜ツーリストインフォメーションセンターを十分に活用しているとは言い難い。ある町議は「御浜ではトイレだけ。お金が落ちる仕組みはないし、作る努力も見られない」と皮肉る。集客が伸びないのを新型コロナの影響と片付けるのではなく、かんきつを生かした体験プログラムを打ち出したトップセールスが必要ではないか。
国勢調査によると、平成12年に1万30人いた人口は、令和2年には8079人。20年ほどの間に約2000人減った。高齢化も進展する中、後継者育成など基幹産業を守る取り組みと同時に、観光振興による外貨獲得の流れも今のうちに確立しておきたい。紀伊半島一周の高速道路の整備が進む中、魅力があれば滞在時間は長くなるだろう。
一方で、健康寿命の延伸などを目的とする特定健診の受診率は、県内でも下位だった平成27年度の26%から昨年までの7年間で倍以上、県内1位の57・2%に引き上げた。受診率の向上に伴い国からの交付金が増加し、健診の無料化や受診者への景品配布などを続け、昨年度には国民健康保険税の軽減、商品券抽選など住民への還元につながったことは成果と言える。
まちをよい方向に導くには、行政と議会が両輪で機能しなければならない。先に述べた失策はもちろんトップの責任ではあるが、監視役を果たせていない町議会にも少なからず責任はある。町議会は先月までに町内各地区で懇談会を開き、町民からのさまざまな意見を聴取し、町長にも届けた。9月定例会では何人が一般質問に登壇し、当局と建設的な議論を交わせるだろうか、動向を見守りたい。