小中の友達で「たくちゃん」という人がいる。たくちゃんはいろんなことに素朴な疑問を持ち、解決されるまで考える性質の人だった。彼の疑問は、義務教育の中では解決できなかった。
思うに現代の国主導の教育は本質的な理解よりもいかにテストに対応できるかということを重要視する傾向にある。少しずつ個に対応する本質的な教育が推進されているが、それでも根本は変わっていない。
例えばたくちゃんの「なぜ地球は明るいのに宇宙は暗いのか」という疑問。初期教育で大事なのはこれがテストに出るかどうかではなく、これをどこまでも追求するよう促す精神の指導ではないか。
私の思考の基本には義務教育の影響も大きいと感じるため、無論全てを否定したいわけではない。ただ子どもの教育に関して、例えば学校を統廃合すべきかなどの目の前の現象で一喜一憂するのではなく、何を根として進めていくのか、変えられる部分と変えるべきでない部分はどこなのか、そういったことに、社会の一市民がそれぞれの立場から少しでも関心を持っていくことが必要なのではないか。
たくちゃんの目が、26の私に問いかける。
【稜】