4月から休館となっている尾鷲市の地域資源活用総合交流施設「夢古道おわせ」の指定管理者が、3月まで管理・運営をしてきた株式会社熊野古道おわせに決まった。
海洋深層水を使った温浴施設「夢古道の湯」をはじめ、古民家を活用した地域物産の販売施設、食堂の3つの機能がある。特に夢古道の湯は、市内外から日々多くの入浴客が訪れていた施設で、早期再開を望む声が多い。これまで運営してきた会社が引き続き運営に当たることから、引き継ぎや従業員の訓練などの時間が短縮される。できるだけ早く、元の活気が戻ることを期待する。
定期監査で不備が見つかったのがきっかけで、指定管理者を再選定することになった。同一業者が指定を受けることは早期再開にはプラスだが、批判的な見方をする市民も多い。申請の前提となる現地視察には3事業者が参加したものの、実際の応募は熊野古道おわせだけで、支配人の交代や管理体制強化など会社内部での変更があったといえ、市民には「ペナルティなし」に見える。市も毎月チェックに入るなど関与を強化するというが、事業者ともども市民に信頼される運営を目指してもらいたい。
同社には、施設運営の充実が求められるのはもちろんのこと、尾鷲市の魅力発信やPRといった対外的な宣伝も重要な役割の一つ。施設に客を呼び込むという本業が最重要だが、入浴木を使った「ありがとう風呂」のような外部に波及する取り組みも心機一転、新しいアイデアを出してもらいたい。ネットで拡散してもらう、メディアに取り上げてもらうことも目に見えない経済効果を生んでいるし、将来の利用につながる可能性がある。
今後、地域の人口が一層減少するし、観光誘客は競争が激しくなる。これまでと同じ利用者数を確保するのは大変で、客を呼び込むアイデアが一層必要になる。
その中で新体制となったのは好機といえる面もある。これまでとは違う視点でアイデアを出し、あるいは市民や利用者などから募るとして、多くの人に認めてもらえる〝健全経営〟を目指してもらいたい。