地域の医師不足が解消しない。これまでは、病院の勤務医の話だったが、人口減少と高齢化の中、いわゆる〝まちのお医者さん〟も、後継ぎがおらず減っていく状況にある。
医師確保に関しては、三重大学だと定員が増えているほか、地域枠がある。以前も書いたが、東紀州地域から地域枠で進学し、医師として働いている人もいるものの、まだ若手で地域に戻って来られていない。
医師不足は、地域間格差のほか、診療科ごとの偏在も問題。和歌山県立医科大学は来年の入試から定員100人のうち、学校推薦型選抜で「産科枠」3人、一般選抜で「不足診療科枠」2人の特別枠をつくるという。県内で特に不足している産科、小児科、精神科の医師充実を図る。卒業後9年間、同大学または同県内の地域中核病院で勤務してもらう条件が付いている。
診療科の問題は、やりがい、報酬、訴訟リスクなどさまざまな要因が背景にある。医師一人一人の職業や住む場所を選択する自由との兼ね合いで難しいこともあろうが、報酬やリスクをできるだけ均等化できる仕組みが必要だ。放置しておけばいずれ大都市の病院でも、診療科の医師不足が起こってもおかしくない。
(M)