熊野本宮大社の例大祭「本宮祭」は4月13日~15日の3日間、斎行される。春の風物詩で、例年であれば全国各地から700~800人の参列者が訪れ、本宮のまちは活気にあふれる。しかし、コロナ禍で今年も規模縮小となり、祭りのハイライトとなる渡御祭の規模は50~70人の見込み。神輿(みこし)はなく、祭神に捧(ささ)げる菊の造花「挑花」(ちょうばな)6基と関係者が旧社地の大斎原に向かう。
神輿や神楽には地元の小中学生が参加していたが、コロナ禍の今はそれもかなわない。生きた教材として自分たちが住む歴史文化に触れる絶好の機会だっただけに残念。関係者は「来年こそ」の思いを強くする。
規模を縮小してでも継続する大切さはこの2年間、いろいろな行事を見て感じている。花火大会などイベント的要素のものと違い、地域の祭りはいったん中止にしてしまうと、途絶えてしまうおそれもあるからだ。特に伝統芸能の継承は平時でも苦労しているのに、コロナ禍で十分な練習ができなかったり、実施を見送ったりするのは本当につらいはず。「来年こそ」の思いは強くなるばかりだ。
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