地域の昔の様子がうかがえる資料を見る機会も多く、「このまちは昔どうだったのか」と思うことがある。伝統行事の話を年配の方から聞くと「昔はもっとにぎわっていたんだけどね」という言葉を必ずといっていいほど聞く。寂しそうに、でも楽しそうに語ってくれる当時の様子は心に残る。
社会は変化していくことが常ではあるが、今は特に新型コロナウイルス感染症による時代の転換期であるといえる。例えば、テレワークの普及などで昨年東京23区が初めて転出超過となり、都心からの人口流出の傾向が見られることは地方として期待が持てる。一方で、コロナ禍が地域の伝統行事の存続に深刻な悪影響をもたらすのではという不安がある。もともと担い手の減少や価値観の変化で苦境に陥る中での強制的な中断により「コロナがとどめを刺した」という事態は全国的に起こってくるのではないか。
ヤーヤ祭りの祭事が2年連続で中止となったのは致し方なく妥当な判断と理解しているが、やはり練りの熱気がない2月の尾鷲は寂しい。あのにぎわいが末永くこの地に続いていくために、考えていかなければならないことは多い。
(R)