紀宝町長選が18日に告示され、現職の西田健氏以外に立候補の届け出がなく、西田氏が無投票で5回目の当選を果たした。昨年10月の熊野市長選と2018年9月の御浜町長選でもともに現職が無投票当選。南郡熊野3市町の直近の首長選がいずれも無投票となったが、本来4年に1回の選挙を「住民からの通信簿」として位置付けると、選挙戦があることが望ましい。
どの現職も、圧倒的な信任を得てというよりは、後継者や対抗馬が見当たらなかったとの見方もできるのではないか。前々回、8年前にも無投票当選を経験している西田氏は「無投票という形で当選したがこれにおごることなく、公約を実行していく」と述べていたが、旧鵜殿村長時代を含めると通算で7期目の"長期政権"となる。昨年から全国町村会副会長も務めるなど、過去の実績や経験、国・県との太いパイプは確かだが、時代の変化や流れ、特にこのコロナ禍にどのように対応していくのか、手腕の見せどころになる。議会も行政のチェック機関として、是々非々の姿勢で臨んでもらいたい。
西田氏は新型コロナ対策を最重要課題として挙げ、ワクチン3回目接種については、国や県と一体となり、前倒しで滞りなく接種できる体制をつくる。地域の生活支援、経済支援にも引き続き尽力し、町商工会と連携したプレミアム付き商品券を再び発行することなども視野に、議会と相談しながら検討を進めたいとしている。
プレミアム商品券を再度発行するのであれば、コロナの波に応じて柔軟に対応できる形をとってもらいたい。というのは、今回の感染急拡大で、三重県は国の「まん延防止等重点措置」が適用、和歌山県も知事らが不要不急の外出自粛要請を出している中、これを受けてかどうかは分からないが、田辺市が経済対策として発行していた商品券・食事券の使用期限を今月末から3月末まで延長した。一方で、新宮市はプレミアム付き商品券の販売・使用期間を今月末から変更することなく、早めの利用を呼び掛けた。感染が少し落ち着いたころに使えるよう、せめて使用期間だけでも延長した方が利用者・事業者双方にとってありがたいのでは。どちらの判断が正しいのだろうか。
杓子定規な対応は行政にありがちだが、トップが柔軟な考えを持てば、田辺市のような社会情勢に合わせた対応が自然とできるのではないか。住民目線の行政運営を望む。