先日行われた御浜町議会議員選挙は無投票で10人の新議員が決まった。行政と議会が両輪となって町政発展に努めることが大切。御浜町は「年中ミカンのとれる町」として知られ、柑橘(かんきつ)は昔から町の産業の中心。現状は、生産農家の高齢化に伴う後継者育成、競合産地との価格競争に打ち勝つための営業力などが課題になる。また、ここ最近は燃料費などの高騰の影響も受けているという。
三重県とJA、紀宝、御浜、熊野の3市町で構成する「三重南紀元気なみかんの里創生プロジェクト協議会」は、柑橘はもとより、その他農産物の生産振興や農業資源等を活用した産業観光の推進、新規就農者の受け入れによって、活力に満ちた地域づくりを進めている。取り組みの一つとして、都市部での就農フェアに参加し、Iターン者受け入れを積極的に働きかけており、その成果により、若い世代で中心的な役割を担うまでに成長した人材もいる。
就農に際しては、国の制度を使い、5年間で最大690万円の補助金が受けられ、現地研修に関しても、就農意欲や農業に対しての適正を確認したうえで、しっかりとサポートする体制がある。町担当課によると、町議会の協力も不可欠で、これからも「オール御浜」で取り組んでいく姿勢を強調する。
「オール御浜」という言葉はたびたび大畑覚町長、そして町議会からも聞こえてくる。柑橘に限らず、すべての諸課題でその精神を貫くことが大切だ。
先日、新宮市立医療センターが産婦人科医師確保の見通しが立っていないことを理由に、来年3月以降の出産予約を中止するとの発表がされた。対岸の火事ではない。大畑町長は3市町で運営する紀南病院の管理者を務めている。休止となっている産婦人科の再開に向けて尽力するのはもちろん、他の診療科についてもいつこのような事態にならないためにも、県当局や大学病院への働きかけは常々行っておく必要があるのでは。そこには、町議や地元選出の県議も積極的にかかわり、住民への情報提供を随時行うことが大切。
4年間の新たな任期を得た現職はこれまでの経験を生かしてさまざまな提案を、一方で初当選した新人は思い切った発想でフレッシュな風を吹き込んでほしい。議員活動で大切なのは、「顔の見える活動」。町民に「私たちの代表」と感じてもらえるような活動を期待したい。