新型コロナウイルスの感染拡大を受け、夏休みを延長していた和歌山県内の県立高校は1日から新しいスタイル(分散登校)を始めた。このうち、新宮高校は半分が登校、半分がタブレットでのオンライン授業という形をとっている。生徒は1日ごとに登校と自宅での授業を繰り返す。新翔高校でも、分散登校とオンラインを併用、しかし現場では「この体制によって学習の進度に遅れが生じてくる」と危惧する声があるのも事実。
県教委によると、この体制をいつまで続けるかは未定。1週間で終わることも、もっと先まで続くこともあり、感染状況を見て判断するという。
一方、新宮市内をはじめ当地方の小中学校は当初の予定通り、1日に始業式を行い、2学期が始まった。県が先月行った調査では、外部で感染し、ウイルスを家庭内に持ち込む「家庭内感染」が広がっていることが分かった。新宮保健所管内でも先月は、幼児や10代学生の陽性者がしばしば見られた。こうした状況で2学期を迎えることに保護者からは「登校させるのが心配」「オンライン授業を」などの不安や要望の声があった。
新宮市教育委員会は、学校での感染防止対策について、これまで行ってきた対策をさらに強く呼び掛け、各家庭に対し登校前の検温や健康観察を呼び掛けることで、家と学校で協力して対策にあたる。県立高校が実施する分散登校やオンライン授業については現段階で考えていないとし、理解を求めた。
ただし、今後の感染拡大状況によっては、子どもや保護者の不安を払拭するような対応も必要になる。そのあたりについて市教委に尋ねると、分散登校やオンライン授業にいつ切り替えてもいいように準備はしているという。オンライン授業で必要となるタブレットPCについては、国のギガスクール構想により、すでに全校児童・生徒分を各校に整備し、授業で使っている学校もある。学校と家庭を結ぶオンラインでの実用はまだなく、小学校低学年では運用面での不安は残るものの、通信環境のない家庭には、モバイルルーター300台分を確保し、貸し出しする用意もしている。
これまで経験したことのない状況に、児童・生徒、教職員ら教育現場は大変に違いない。県と市町村では財政力、さらにマンパワーに違いがあり、同様の施策は難しいかもないかもしれないが、教育委員会と各学校長が情報を共有し、状況に応じて柔軟な対応を判断していくことが大切。また保護者もワクチン接種を2回済ませていても感染の可能性があるので、子どもたちのためにも、家庭内感染に気を付けてほしい。