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紀南抄「海岸美化 行政主導の必要性」

 新宮市の王子ヶ浜で20日、アカウミガメ1匹が上陸し、98個の卵を産み落とした。今季の初産卵で、昨年より約2か月早い。市の委託を受けて保護活動に努める紀伊半島の海亀を保護する会では、幸先の良いスタートで、多くの上陸、産卵に期待を寄せている。
 
 毎年、初上陸・初産卵のタイミングで、同会の榎本晴光会長から連絡をいただき、取材に赴いている。過去には、まさに今産卵している情景を見ることもできた。アカウミガメは繊細な生き物なので、気づかれないように離れたところから見守ったが、体全体を使って一生懸命に穴を掘る姿が印象に残っている。
 
 選んだ場所が砂利の多いところだったり、流木等でさまたげられたりしていれば、また別の場所を掘り起こす。何度も繰り返し、結局産卵をあきらめて海に戻ってしまったアカウミガメもいた。
 
 全国を見てもアカウミガメが上陸・産卵する海岸は希少。それだけに、海岸を美しく保つことが大切。王子ヶ浜は以前から、ボランティア団体による献身的な取り組みが続いているが、もう少し海岸管理者の和歌山県をはじめ行政が主導して環境美化に努めてもらいたい。
 
 【F】

      5月24日の記事

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