昨年、よく耳にした言葉に「正しく恐れる」がある。新型コロナウイルスに対する不安から、差別や偏見、行き過ぎた行動が目に余り、確かな情報や知識を持って対策することの大切さが呼び掛けられた。
物理学者で随筆家でもあった故・寺田寅彦が1935(昭和10)年、信州・浅間山の噴火に遭った氏が、「小爆発二件」の随筆に書いた「ものをこわがらな過ぎたり、こわがり過ぎたりするのはやさしいが、正当にこわがることはなかなかむつかしいことだと思われた」という一文がもとになっているといい、特に東日本大震災以降、防災・減災対策でいわれている。
事業や生活に欠かせないインターネット。さまざまな情報を居ながらにして入手でき、テレワークをはじめ、申告や各種申し込みなどにも活用されているが、世界中から見えること、中にはメールでウイルスを拡散させたり、個人情報などを盗みとろうとするやからもいることを忘れてはならない。むやみに怖がり、一切使わないというのも現実的ではないし、何の対策もなく漫然と使い続けるのは危険。
日常生活には何らかのリスクがひそんでいる。必要に応じた対策は欠かせない。
(J)