日本には季節に合わせて代表的な節句が5つある。正月7日の人日(じんじつ)を皮切りに、3月3日の上巳(じょうみ)、5月5日の端午、7月7日の七夕(しちせき)、9月9日の重陽(ちょうよう)まで。
よく知られているのが女子の健やかな成長を願う上巳の節句と男子の健やかな成長を願う端午の節句で、上巳は桃の節句、端午は菖蒲の節句ともいわれる。人日の節句は七草粥(ななくさがゆ)を食べて一年の豊作と無病息災を願うことから、七草の節句とも。七夕は言わずと知れたたなばたで、短冊に願いを描いて夢の成就や技芸の上達を願う。
これに対し、あまり知られていないのが重陽の節句。旧暦では菊が咲く時期であることから菊の節句とも。薬効があるとされる菊を用いて長寿や無病息災を祈願するが、新暦に替わって季節感が合わなくなり、次第に廃れたといわれている。
上巳の節句には桃花酒(江戸時代以降は白酒)、端午の節句にはちまきやおさすり、七夕にはそうめんと、いずれも旬の食がつきもの。季節感が薄れつつある現代、伝統の風習に目を向けることは、せわしい日常の中で、季節を感じられる貴重なひと時になる。
(J)