先週の本欄で取り上げた鳥羽市での将棋名人戦の第1局。名人初挑戦の渡辺明3冠が勝利を収めた。会場は過去5回、名人戦が行われたことのある老舗旅館。なんでもその会場で勝った棋士が、いずれも7番勝負を制しているのだとか。今年の結果はいかに。
将棋のタイトル戦では、棋士の昼食やおやつにも注目が集まる。2日目午前に名人が選んだおやつはフルーツ盛り合わせ。ある記事に「尾鷲産の甘夏」との表記があった。グーグルで「名人戦 尾鷲産甘夏」と検索すると、記事や動画が見つかる。観光物産協会がさっそくSNSでPRしていた。
ちなみに、渡辺3冠のおやつのケーキに添えられているのも同じものではないか、と推察する。このように取り上げてもらうと、たった一文でもPR効果がある。しかも、全国への反響が期待できる。ブランド化、差別化のきっかけにもなる。
物販は競争が激しい。地域で生産したものが、地域内でさばけて利益がでるならそれに越したことはないが、人口が減少する中、地域外の顧客の重要性が増している。ちょっとしたことが付加価値につながる。これがチャンスの芽になればよいと思う。
(M)