国の重要無形民俗文化財指定50周年を記念
国の重要無形民俗文化財に指定され今年で50年を迎えた「那智の田楽」を、地域住民にもっと広く知ってもらおうと、那智勝浦町の世界遺産・熊野那智大社と那智田楽保存会は25日(日)午後2時から4時頃まで(開場1時30分)、同町天満の町体育文化会館で、記念公演会を開催する。和歌山県教育庁生涯学習局文化遺産課主査の蘇理剛志さんが田楽について解説したあと公演し、終了後は餅まきも予定している。入場無料。事前申し込み不要。
田楽は7月14日に斎行(さいこう)する同大社の例大祭「那智の扇祭り」の宵宮(前日)と本祭で、扇神輿(おうぎみこし)の出御(しゅつぎょ)に先立って奉納される神事芸能。1976年に国重文、2012年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されている。
京都で流行した田楽躍りが起源とされ、約600年にわたり保存・継承されてきた。五穀豊穣(ごこくほうじょう)を祈願する舞で、動作の一つ一つが「開墾」「田植え」「稲の穂先が垂れる様子」「稲刈り」「めでたしめでたし」など、稲の一生を表している。
那智で田楽が上演された最古の記録は1403年のもの。当時、熊野那智大社は那智山という社寺複合施設の一部だったため、仏僧がこの伝統の維持に助力していた。1868年の明治維新後、「神仏分離令」により田楽の伝統は途切れてしまったが、1921年、保存されていた記譜の入念な研究と過去の上演を覚えていた年配の氏子の協力によって復興した。
現在は那智田楽保存会が継承する。披露するのは年に一度の例大祭の時、境内の舞台で奉納。田楽の演者は、主な舞い手8人、小さな鼓4人、そしてびんざさら4人からなる。びんざさらと呼ばれる珍しい打楽器は、何十枚もの小さな木の板を紐で束ねて作られており、波立たせるようにして演奏する。加えて、2演目だけに登場する「シテテン」と呼ばれる舞い手が2人と、ずっと座って演奏する笛の奏者が1人か2人いる。歌い手はおらず、笛が唯一の旋律的な要素を担う。舞は「節」と呼ばれる単位で区切り、全22節を45分程度で舞う。
過去の出張披露では20分程度に収めた“短縮版”だったが、公演会当日は同会館アリーナに舞台を設営し、例大祭と同じ“完全版”とする。同大社は「例大祭当日は観光客を含めた大勢の見物客で混雑するため、見物が難しいという地域の方も多い。この機会にぜひ大勢の方にご覧いただき、国重文の那智の田楽を知ってもらいたい」と多数の来場を呼び掛けている。
