上里地区は危機感
紀北町内ではクマの目撃情報が相次いでおり、学校周辺での目撃情報も寄せられている。不安の中、子どもたちの安全をなんとか守ろうと、クマよけ鈴の配布や草むらの除去など、できる限りの被害防止策が進められている。
町教育委員会はクマの目撃情報が増え、ツヅラト峠で人身被害が出た8月下旬から町内の子どもたち用のクマよけ鈴を集め始め、683個を用意。今月9日に町内の12小中学校の児童生徒と紀伊長島幼稚園に通う園児に一つずつ配布した。学校近くで目撃情報があった上里小と東小にはクマよけスプレーも設置するという。
中でも、上里小は学校の目と鼻の先でクマの目撃情報が寄せられており、学校や住民の危機感が強い。今月3日の目撃情報があった後は、児童同士で連れ立ったり保護者が同行して登下校時に安全を確保。地域一丸となって耕作放棄地の草を刈り、見晴らしをよくした。
また、学校のそばを流れる大河内川の河川敷にも草が生い茂り、クマが逃げ込んだり潜んだりする可能性があるため、9日に上里自治会、上里小、PTAの連名で除草作業を県に陳情。河川敷の除草は、県が地域維持修繕業務で行うことを計画しており、地元の要望もあり、前倒しする形で13日に事業者が作業を行った。
大和享二自治会長は「子どもたちが安心して学校生活を送れるように、自分たちができることは全てしていきたい」と話している。